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株式会社取締役の貸付金・借入金の取扱い③

今回の税務トピックスでは、具体的な事例をもとに、役員の貸付・借入金について税務上の問題点について解説します。

まず、株式会社の取締役に対する金銭や動産等の貸し付けについてです。

①長期間、取締役に貸し付けている金銭等が会社に返還されない場合

→その金銭等を会社に返済する意思がないと判断し、役員に対する現物給与と認定され所得税の課税対象となる可能性があります。

少しでも課税対象となる可能性を抑えるには、金銭消費貸借契約を取締役と結び、少額でも会社に対して返済するように促すことが望ましいです。

②現金出納帳等、帳簿管理を行わず取締役が経費を立て替え、概算で経費精算をしていた場合

→立て替えた経費実額よりも、経費精算した概算額の方が大きくなると差額が役員貸付金となります。さらに、立て替えたものの中に、経費にはならないものが含まれていた場合はその分役員貸付金が増加します。この役員貸付金には利息がつくため、利息部分の法人税が課税されることになります。

③飲食代にかかる領収書等を取締役から回収せず、日々の食事代を現金で支給している場合

→いわゆる渡し切りの交際費は、現物給与となり取締役の所得税の課税対象となります。

法人側では、毎月定額支給しているのであれば、経費として認められますが、臨時に支給した場合は経費にはならず法人税の課税対象となります。

次に、役員借入金についてです。

①会社の業績悪化に伴い、役員報酬が払えず、実質役員借入金になっている場合。

→役員報酬の支給タイミングが定期的ではないため、経費にはならず法人税の課税対象となる可能性があります。支給日から1年以上経過した場合、1年を経過した時点で源泉所得税を役員から徴収する義務があるため、1年以上長期間にわたって役員報酬が未払いになる可能性があるときは、その取締役と金銭消費貸借契約を結ぶことを視野に入れることが望ましくなります。

②会社が取締役に対して借入金を長期間返済していない場合

→返済意思がない場合、借入金が免除されその分利益が増えることから法人税が発生する可能性があります。

一方、取締役側では会社の利益が増えた影響で、株価が上昇することから他の株主に価値が移転したとみなされ、贈与が発生したことになります。

そのため、借入金を放棄した取締役以外の株主がいる場合は贈与税の対象となってしまうため注意が必要です。

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